こんにちは。院⻑の岡⽥です。
先⽇、患者さんから
「なんで先⽣の⿇酔は痛くないんですか?」と聞かれました。
私はちょっと照れくさくて、
取りあえず「思いやりです」と答えました。
でも、実際のところはどうなんでしょう?
私は現在、電動⿇酔器を使っていませんし、
薬液を体温近くまで温める器械も、
極細の針も使っていません。
もちろん、これらは⿇酔の注射の痛みを減らすために、
とても役⽴つ器材です。
では、他の⻭科医院では
今でも「痛い⿇酔の注射」をしているところがあるのでしょうか?
今回は、⻭科⽤⿇酔についてのお話……
と⾔っても、どちらかというと私の思い出話です。
「痛くないようにしろ」「⼦供を泣かすな」
30年ほど前、私が⻭科医師になって
初めて勤務した医院の院⻑先⽣は、
私にとって師匠のような存在です。
今の私の治療⽅針の基本は、
そこで学び、経験したことが⼟台になっています。
その院⻑から、まず⾔われたのが、
「痛くないようにしろ」そして、
「⼦供を泣かすな」ということでした。
ただ、「痛くないように」と⾔われても、
⼿取り⾜取り教えてくれるわけではありません。
「⾒て覚えろ。⾃分で考えろ」ということです。
これが、ものすごく⼤変でした。
院⻑は、表⾯⿇酔を使わずに、
ほとんど痛みを感じさせずに⿇酔の注射をしていました。
私にも「表⾯⿇酔は使うな」と⾔います。
とはいえ、新⽶⻭科医師が
いきなり痛みのない注射をできるはずがありません。
患者さんが注射で痛そうな顔をすると、
申し訳ない気持ちと痛くしてしまったという気持ちで、
本当に参りました。
でも、「痛くない治療ができなければ、
勤務医を辞めさせられるかもしれない」と思っていましたから、
⾃分なりに必死で頑張りました。
それからは、
「どうすれば痛くない注射ができるのか?」
「針を刺す場所はどこがいいのか?」
「どういう⾓度、どういう⽅法で刺⼊すればいいのか?」
毎回、試⾏錯誤の繰り返しでした。
そうしているうちに、少しずつですが、
患者さんに痛がられることの少ない⿇酔の注射が
できるようになっていった気がします。
ですから、私には「これが正解」という
マニュアルがあるわけではありません。
30年経った今でも
あれから30年が経ちました。
それでも私は今も、
「どうすれば患者さんが痛くないようにできるのか」を
考え続けています。
先⽇、⻭の治療で久しぶりに師匠のところへ⾏き、
実際に治療を受けました。
器材などは変わっていても、治療の仕⽅は以前と変わりません。
まったくぶれないんです。
本当に勉強になります。
⿇酔も、今でもやはり表⾯⿇酔を使わずに施術されます。
「ちくっ」と感じることもあれば、
ほとんど何も感じないこともあります。
でも、「これくらいなら⼤丈夫だな」と思いながら、
いつも安⼼して治療を受けています。
「思いやり」なのかもしれません
今回、患者さんから
「なんで先⽣の⿇酔は痛くないんですか?」と聞かれて、
私は「思いやり」と答えました。
もちろん、電動⿇酔器や極細の針など、
痛みを減らすための器材や技術もあります。
でも、30年間、⿇酔の注射をしてきて思うのは、
器材だけではないのかもしれない、ということです。
「できるだけ痛くないようにしてあげたい」
「怖い思いをさせたくない」
「安⼼して治療を受けてもらいたい」
そういう気持ちを持って患者さんに向き合うこと。
もしかすると、それをひと⾔で表すなら、
やっぱり「思いやり」なのかもしれません。
そして今回、⾃分⾃⾝が患者として師匠の治療を受けてみて、
もう⼀つ強く感じたことがあります。
それは、⻭科医師に対する信頼感も、
痛みに⼤きく影響するんだなということです。
「この先⽣なら⼤丈夫」
そう思えるだけで、体の⼒が抜けて、
安⼼して治療を受けることができます。
30年前に「痛くないようにしろ」と教えてくれた師匠。
その⾔葉は、今でも私の中にずっと残っています。
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